tear

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 恋をしている。  どこか浮世離れした彼女に。  きっかけなんてあってないようなものだった。  教室でいつもきちんと講義を受けるところとか、派手な服も派手な化粧もしないところとか、遅刻もサボりもしないところとか、ズルいことを考えずにまっすぐに進むところとか。  生きるためには必要だからと、苦しいことから逃れることを覚えたわたしには、彼女の生き方がまぶしかった。  わたしがどこかでなくしてしまった、なくしたことすら気づかなかった姿勢の良さを、今でもきちんともっている彼女に、  わたしは恋をした。
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