ノイジー・マジョリティ&サイレント・マイノリティ

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 てんちょーは(あたま)をかきながら、しょうがないなあとひとこと()って、それからカウンターの(した)()をのばした。てんちょーはあたしとおばあちゃんに、商品(しょうひん)(いた)チョコを(だま)って(わた)したんだ。 「てんちょーこれ、(ぎゃく)チョコってやつですか?」 「あ、ああ、飯藤(はんどう)くんにはいつも世話(せわ)になっているしな。ばあちゃんも、いつもごひいきにしてくれてありがとうよ。おしるこ(かん)もちゃんと入荷(にゅうか)しておいてやるから。」 「てんちょーありがとう、お(かえ)しは、ホワイトデーでいいかな。」 「お(かえ)しなんていいよ。それよりも、パントマイムの世界大会(せかいたいかい)、もうすぐだろう、がんばれよ。それがホワイトデーのお(かえ)しってことで。」 「てんちょー、ありがとう。」 「あらあら、あなたパントマイマーなの? ステキねえ。(むかし)わしのひいじいさんが、チャップリンの無声映画(むせいえいが)をよく()ていたのを(おも)()すわ。」  世界大会(せかいたいかい)優勝(ゆうしょう)すれば、(つき)での独演会(どくえんかい)ができる。ほんとうにチャップリンのように、映画(えいが)主人公(しゅじんこう)になれるかもしれない。 「てんちょー、世界大会(せかいたいかい)優勝(ゆうしょう)しちゃうと、(さび)しくなっちゃうかもね。ほんと、ありがとう。がんばる。おばあちゃんもありがとうね!」 「そうしたら、(つき)まで応援(おうえん)しに()ってやるよ! ばあさんもいっしょに()るかい?」
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