0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、一ヶ月前から学校に行けていない。
自分でも、何が辛いか。何が嫌なのか。
よく分かっていない。
人が怖い、外には出れない、喋りたくない。
この3つだけは確かだった
いじめられてる訳では無い。
心配してくれる友達もいる。なのに学校にも行けず外にも出ることは無かった。
時も同じく一ヶ月前。学校に行かなくなった翌週から
精神内科に通い始めた。
駅の近場で、商店街があるからとても一通りが多く
行くのはお昼時と、かなり苦痛だった。
毎週日曜日に通うことになり
2回目から薬を貰う事ができた。
しかし、外に出ること。人が怖いのは変わらなかった。
俺は外にいた。散歩をしていた。
深夜1時だった。
外には誰もいない、真っ暗、家の灯りも無く
街灯だけが頼りの道を歩くのは初めてで、
浮遊感だけが僕を支えていた。
そんなことを考えてたら、近くの公園に着いた
そこは少し地形が高くなっていて
遠くのビルの明かりが良く見えた。
薬の副作用もあり、目の焦点も合わず
その景色を眺めていた。綺麗だった。
次の日も俺はその公園に来ていた。
ただ時間が19時、待ち合わせをしていた。
相手は小学校からの友達(俺、友達は高校生)
そいつなら、少し話せると思って公園に呼んでいた
時間は19時半、待ち合わせの時間通りそいつは来た
その時まで、話せるか不安だったが。
問題はなかった。
「どしたんよ急に」
「まぁ、理由は…特にないよ?」
お互いに、少し微笑みながら
ブランコに座った。
そこから俺は、学校に行けていないこと
外に出れていない事、人が怖い事も、話すつもりだった。
だけど、俺の口から出たのはくだらない話ばかり
最近の趣味、YouTuberの話、部活の話、彼女ができたか、そんなことばかりが溢れていた。
「でさ、なんで呼んだんよ」
唐突な友達の言葉で俺は思い出した
「まぁ、大事な話があってな?」
「なんだよwついに君にも彼女かい?」
「いやwそんな話じゃ呼ばねーよw
ただ、まぁ。一ヶ月前からな学校に行けてないのさ」
少し、俺は怖かった
1番仲が良くて、関係も長い。そう思っていたから
こんな話を持ちかければ面倒くさがられるのでは?と
しかし、そんなことは杞憂だった。
「なるほど。理由は?…」
「俺でもよく分かってない、一昨日まで外に出れなかったし、今でも昼に外に出るのは怖い、人と話すのも怖い。ってことぐらい」
「そっかァ、。まぁ、いいじゃない
いじめとかある訳じゃないだろうし、それにお前夜更かしするし夜食のカップラーメンとか辞めてないだろ
そゆのもあんじゃないの?」
いや、カップラーメンはもう食ってない。
夜更かしは…、寝れないんだよ許せ、とか言いたかったけど、
「それはねぇわw」
「嘘おっしゃい、健康的な生活は大事よ」
お前は俺のお母様か?と心の中で思いつつ
「確かにね。そっからかもな」
「お前の人生の指針が決まったな」
「そんな、大層なもんじゃないだろw」
そんな軽口を言いあえた、
真面目かは分からないが話は聞いてくれた
それだけで少し、体は軽くなった気がした
楽しかった。話せてよかった
そう思えた。
「寒いな、腹減ったし。帰る?」
そう友達が告げた
真冬の夜、確かに肌も冷えてきた。
「そうだね、帰ろっか」
そう言ってお互い家に向かう
帰り際に、頑張れよ、と聞いたこともないぐらい
優しく言ってくれたことが嬉しかった。
少し頬が温まって、
ありがとな、と答えて家に向かう。
終始そいつの顔は見ることが出来なかった
後悔はある。また話したいとも思う
しかし、その罪だけが俺を蝕んだ。
嗚咽混じりに入った風呂はとても冷たかった
最初のコメントを投稿しよう!