Kneel

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「──つき、夏生(なつき)!」 深く潜っていた思考が、呼び掛けによって浮上する。ハッと声のする方を見れば何とも言えない表情でこちらを見る男子生徒の姿が映る。 「大丈夫か?なんかぼーっとしてたけど」 「ごめん、考え事。なんか用事あった?」 いつものようにヘラヘラと笑って返せば目の前の男子生徒は特に気にも止めず納得する。 「いや〜数学のプリント、あとは夏生の分だけだから催促しに来た」 「あ、そっか、忘れてた」 はい、と机に入っていたプリントを差し出せばさんきゅ!と言って男子生徒はそれを持って去っていく。その後ろ姿をぼーっと見ながら思わず溜息を吐きたくなった。
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