Kneel

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呼吸が僅かに乱れて冷や汗をかく。底から湧き上がる恐怖心と不安感に飲み込まれてしまいそうだった。震えている身体に思わず、突っ伏していた腕に力が入る。今までで一番酷い症状だった。 カーテンが開く音が僅かに耳に届いた。それから誰かの足音が近づく。深く堕ちていく俺は動くことが出来ずに頭の片隅でその音を聴くだけだった。 足音が止まった。その瞬間、ふわりと甘いバニラのようなものが香った。 「大丈夫、落ち着いて」 ドクン、と心臓が大きく脈打つのを感じた。力の入っていた腕が緩まる。近くで聞こえたその声に心臓が激しく高鳴る。突っ伏していた顔を恐る恐る上げてその声がした方を向いた。
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