【短編】今年のバレンタイン雨だったね

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「じゃあ、私はもう行くわね」 「うん。ホントにいろいろありがと、あ、ちょっと待って!」 「なによ?早くしないとバスもう来るわよ?」 「これだけ渡しとかないと、はい!友チョコです」 私は横に置いていたカバンを持って、友人の下へ急ぐと、カバンの中から丁寧にラッピングしたチョコレートを渡す。 「……こんなの一緒に作ったかしら?」 「ううん!ちゃんと教えてもらった通りの手順で一人で作ったんだよ。良かったら貰って!」 「その……じゃあ私も、これ」 友人は恥ずかしそうにしながら、自分のカバンからハート型の箱に入ったチョコを渡してくる。 「ハート形だ!かわいいね!」 「そのハート形に意味とか別にないからね!ただ箱余ったからだから」 「うん?可愛くて普通に嬉しいよ?」 「煩いわよ。もう!」  友人はそう怒ったように頬を膨らませてから、私からのチョコを受け取ってくれて、私の手に、ハートの箱を握らせてくれた。  そんな事をしていると、バスがもう私たちの横まで来ていて、友人はクルッと反対を私とは反対の方を向いてしまう。 「じゃあ、今度こそまた明日ね……チョコありがと」  友人はそう言葉を残して、ドアの開いたバスに乗り込んでいってしまう。 「うん!私もありがと!また明日ね」  私の言葉を聞き終わるのを待っていたかのように、友人を乗せたバスはドアを閉めて、そして直ぐに走り去ってしまう。
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