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電話ボックスしかない場所
今日も電話が容赦なく鳴り響く。
この無機質な空間には、電話ボックスしかない。ズラりと並んだガラスのボックスたち。
俺はただ電話が鳴るのを隅っこで待っている。
天国又は地獄からの死者の知らせ。
それを知らせる電話ボックス。
ジリリリ、と鳴り、扉を開けて受話器を取ると、死者の名前と年齢、死に方を知らされこの世へと迎えに行く。
俺は、そんな仕事をしている〝死神〟だ。
死神は何人かいる。
一斉に電話が鳴る事もあるので、交代しながらみんな働いている。
一人ずつ迎えに行く時はいいが、時には事故などでたくさんの死者のお迎えがある。その時は数人で迎えに行かないといけないから大変だ。
とりあえず、俺はそんな仕事を毎日しているのだ。
さぁ、今日はどんな死者のお迎えがあるだろう。
あまり大変な死に方をしてない方がいいな。
この世に未練があるとかは勘弁してほしい。
あの世へ連れて行くのが大変だからな。
そんな事を思っていると、
ジリリリ……
電話が鳴り響く。
下っぱの俺は、お前が出ろ!と先輩からの目線を送られる。
溜め息を吐きながら、そのボックスへと近付き扉を開けて受話器を取った。
「もしもし」
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