孤高の青年

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 まさか私の息子が・・・選りによって大事な一人息子が・・・いじめられている。我が家にいじめられっ子がいる・・・只々そんな思いで多香子は弘和が訴えたことには頓着せず、ブルーになりショックを受けたのだった。  そこで夫の一弘に多香子は相談してみると、「中々と言うか、相当、骨のある子に育ったものだなあ」と意外にも一弘は感心して言うのだった。 「何言ってるの。弘和はいじめられっ子になってしまったのよ!」 「分かってるよ。ま、心配するな。俺が弘和の良き理解者になってやれば、それだけであの子は大丈夫さ」  そうは言ったものの一弘は弘和の前途を危惧した。しかし、俺が弘和の心の支えになってやりさえすればという思いを込めて言ったのだ。だからと言って甘やかすのは禁物。獅子の子落としを実践しなければとも思った。それと言うのが一弘は弘和を正しいとした上で孤独になって前途多難になろうとも我が子に正しい儘、孤高の道を歩ませる積もりになったのだ。  但、勿論、良き友、良き彼女が出来るに越したことはない。弘和は虚しくなろうとも同志と成り得るより善き者を求め、孤高に生きてゆくことだろう。
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