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事実上、河合は隊規違反スレスレで切腹を免れたと、新選組隊内ではまるで英雄譚のような語られようだった。よかったなあ河合。さすがにあの土方さんも、古参のお前においそれと切腹は言い出せないだろうよ。隊士らはその話で持ちきりになっていた。
皆が浮き足立っている中、さくらは盗っ人探しに精を出していた。五日というのは、案外短い。手掛かりになりそうなところは片っ端からつぶしていかねばならない。
「正直に言え。河合を見殺しにすることになるのだぞ」
さくらは、河合と飲みに出かけていたという三人に聞き込みを行っていた。酔わせたところに鍵を盗んだと考えるのが普通だろう。河合も、鍵を盗られるとしたらそこしか考えられないと言っていた。三人のうち二人が属する五番隊隊長である平助も、心配そうな顔で同席している。
「知ってること、なんでもいいですから」
平助は、悪戯をした子供に「怒らないから言ってごらん」とでも言うような調子で三人――特に小川と大橋――に答えを促した。
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