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しかし、動かぬ証拠が見つからないまま、四日が過ぎた。
隊内に溢れていためでたい雰囲気は、かつてない緊張感に変わっていた。皆こそこそと集まっては、「どうなんだ」「まだらしい」と情報を求めて右往左往していた。
河合が実家に依頼した金子は、まだ届かなかった。
「河合。本当に何も思い出せないのか。金がなくなった日の夜のこと」
さくらは苛立ちを募らせながら、河合を問い詰めた。この四日間、謹慎を命じられて小部屋で過ごしていた河合はすっかり憔悴しきった様子で、首を振った。
「それより……飛脚は、まだ、来おへんのですか」
今度は、さくらが首を振る番だった。重苦しい空気が二人を覆う。
「明日いっぱい猶予はある。それまでに事が動かない場合、明後日の朝だ」
明後日の朝どうなるか、ということをさくらははっきり口にできなかった。いっそ、すぐに切腹させた方がよかったのではないか。希望を持たせて、結局死ぬことになるのなら。そんな考えすら、脳裏をよぎってしまった。だが河合は、まだ望みは捨てませんと青白い顔で微笑んだ。
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