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山南といえば、早いもので一周忌を迎えようとしていた。
だからと言って、何か特別に法要などするわけではない。新選組では、ここ一年の間でも多くの同志が命を落とした。いちいち一周忌だの三回忌だのとやっていれば、お経を聞かぬ日はなくなってしまうだろう。
さくらは、毎月そうしていたように、山南の墓前にいた。
――山南さん。もう、一年経つのですね。
墓石の前に腰を下ろし、じっと見つめた。
この一年も、いろいろなことがあった。気づけば、新選組はすっかり大所帯になって、最近ではぱっと見てすぐには名前の出てこない隊士までいる始末だ。三年前の今日、壬生の地に初めて足を踏み入れた時、こんなことになるとは想像だにしなかった。
「ねえ山南さん、今の新選組をどう思いますか。私の今を、どう思いますか。なんだか最近は、重要参考人は取り逃がすし、河合のことは助けられないし、失敗続きで」
今、河合に切腹を言い渡した歳三だけでなく、五日間で盗っ人を探しきれなかった監察方筆頭のさくらにも、隊士たちからの冷たい視線が注がれていた。
「山南さんに叱ってもらった方がいいのかもしれませんね。そういえば、私、あなたに叱られたことなんてなかったなあ」
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