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一番奥の広い部屋に三人は通された。まずは容保が入ってきて、緊張しきりの三人に近寄り言葉をかけてくれた。
「公方様はお忍びでいらっしゃるのだ。そのようにこわばるな。と言っても難しいかもしれぬが、肩の力を抜け。いらぬ粗相の元になるやもしれぬ」
だが、容保の命とはいえ、やはり肩の力を抜くなどということは不可能だった。いつもは上座の正面に座る容保が、今日は横の壁際に腰を下ろした。
さくら達は頭を下げたまま、慶喜が来るのを待った。実際にはそんなに時が経ったわけではないのだが、襖が開くまでの時間がとてつもなく長く感じられた。
やがて、カラリと音がした。続いて、衣擦れの音と足音。部屋中が緊張感に包まれた。結局さくら達だけでなく、周囲に控えている会津の家臣たちも緊張しているに違いない。
「くるしゅうない。面を上げよ」
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