18.誰がために

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 三人は、ふわふわした足取りで会津藩本陣を後にした。なんだか夢見心地であった。改めて思い返すにつれ、今さっき起きたことが現実のことだとは少々理解しがたかった。  勇が屯所とは違う方向に歩いていくので、さくらと歳三は不思議そうな顔をしつつもついていった。  たどり着いたのは、壬生・新徳寺であった。 「ここから、始まったんだよなあ」  勇が感慨深げにつぶやいた。さくらと歳三は顔を見合わせて、笑みを漏らした。 「そうだ。そして、俺たちはとうとう名実ともに武士になる」 「うん、本当に、なるんだな」 「……勇、歳三」  振り向いた二人に、さくらは満面の笑みを見せた。 「ありがとう。ここまで、連れてきてくれて」 「何言ってんだ」  歳三がぶっきらぼうに言った。勇は、ふわりとさくらに笑いかけた。 「おれ達は、三人で力を合わせてここまで来たんだ」  武士になる。それが今本当に叶ったのだと、さくらの中に少しずつ実感が湧いてきた。
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