11人が本棚に入れています
本棚に追加
1 私と彼の二度目の出会い
ソレは、まるでボタンの掛け違いの様な些細なことから始まって。気がつけばソレはもっと明確な、直しようがない広い穴に育っていった。気がつけば私はその穴にすっぽり落ちて、誰かに助けを求めていた。けれど、自分でその穴をはい上がる力もなく、ただ叫んで、泣いて。惨めに布団に丸まって。気がつけば中学校へ行くのがおっくうになっていた。
そんな時にあの頃の夢を見た。
「君は、とっても優しいね。ボクは君が大好きだよ」
「空太(そらた)君」
「だけどねボクは――」
そこで、目が覚めた。
最初のコメントを投稿しよう!