1 私と彼の二度目の出会い

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(また、なんか言われてる……もう、気にしないようにするけれど、私は変わるんだ……! もう、こんな風に見た目で左右されないようにメイクとか覚えてさ)  私は無事今年の春からT高校生徒になることができた。もしかしたら彼はここに今居ないかもしれない。この高校に空太君が居るなんて確証は元からない。全部私の妄想だ。それでも、新しい場所で暮らしているうちに遭遇するかもしれないじゃないか。願望に近いその希望にすがりつくことで、頑張れるならそれでも良いのだ、と思った。  あの日から私は変わろうと、長い黒髪を少しだけ明るく染めた。  いつもつけていたヘアピンも、手作りして新しい白いパールを連ねたかわいいモノに作り直した。独りぼっちばかりだった私の趣味は、読書とビーズアクセサリー作りだけだった。  小説を読んでいればどんな世界にだって飛んでいける気分になれたし、ちまちまと細かいビーズをいじってると、無になれた。小説を読んだり、ビーズアクセサリーを作り終えれば、達成感も感じれてどこか自分は頑張っているのだと思えた。ほとんどは勉強に費やした時間の隙間の息抜きではあったけれど……。  とにかく、空太君と再会しても、ステキだなって思ってもらえるように頑張るという目的だけが私を突き動かした。ソレは、恋に恋するようなもので。だからまさか、本当に同じ高校に空太君がいるなんて、思ってもみなかったんだ。  それに、まさかあんな……。
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