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「えっとねぇ」
私はヘアピンを触りながらアヤ子ちゃんの方に向き直る。
「ブックマーカーとかも作るんだけど、今度アヤ子ちゃんにも作ってくるよ」
「わあい、ありがとう。琴美ちゃん!」
たわいもない女の子同士のおしゃべりができることが、幸せだと今の私ならとても理解できるから。だから、気を遣いながら、本の話とか芸能人とかの無難な話題をアヤ子ちゃんに振っていく。
もし空太君に再会したとき、根暗そうに見える私なんて、絶対嫌だから。明るくてとっつっきやすい、笑顔の可愛い女の子に見られたい。できれば、お付き合いしたくなるような……そんな、私で待っていたいから。
(あの頃は、なんだかんだで好き合っては居たんだけど……)
まだ、子供だったから……付き合ってるという確認さえもしなかったような気がする。
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