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「岩?」
私はイサークの声を聞いたら、止まりかけた涙が再び溢れてきた。
イサークは叩いた私の拳を大きな手で包み込んだ。いつも剣を握るその掌はカサついて所々にたこが出来ていた。
私はちり紙を取ってチーンと鼻をかんだ。そして涙を拭って呟く。
「……よく考えたらさ、このビキニアーマーが宝箱から出てきた時、ルカは私に渡すかカスミに渡すかで、迷っていたわよね?」
「そうだったか?」
「そうよ!」
ダンジョンに潜った仲間は途中で散り散りになった。泥棒のキーロも一緒だったから、宝箱を見つけたら鍵を開けて欲しかったのに。キーロは途中ではぐれちゃうし。必要な時に役に立たないんだから。だから一つしかない宝箱の鍵は貴重だったのよ。
一番奥の魔物を倒したら出てきた宝箱の中に、この紫色のビキニアーマーがあった。その宝箱を開けた時、勇者ルカにカスミ、イサーク、私の四人だけだった。もしかして、あの時からルカはカスミに思いを寄せていたのかしら。
「きっと肌の露出をカスミにさせたくなかったのよ。だから私にビキニアーマーを……」
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