01 私の名はヴィヨレ

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 イサークが優しく笑い私の瞼にこめかみに、頬に小さくキスを落とす。キスでしっとりとしたイサークの唇が触れる度、体がはねる。甘い声で囁かれて私は目をまん丸にしていると思う。  この人は誰? あの寡黙で素っ気ない、話を聞いているのか聞いていないのか分からないイサークはどこへいったの?  私が突然遭遇した魔物を見た時よりも驚いた顔をしていたのだろう。イサークが笑いながら耳朶にキスをしながら囁いた。 「どうした? そんな丸い目をするなんて珍しい」  どうしたじゃない。どうしたのかはあんたよ。だから私は素直に答えた。 「だってキスしたの初めてなんだもん」  顔を横にしてイサークの黒い瞳を見つめると、今度はイサークがこれでもかと目を見開いた。 「…………なん、だと? 初めて、だと?」 「うん。村では剣を振っていたから、そんな私に男は誰も近づかないし。村の外に出たのはこの冒険が初めてだし。いつ誰とキスするのよ」  イサークの嵐の様なキスが私のファーストキスになるのね。何だか凄すぎて全然分からなかったわ。誰よ、唇を合わせるだけって言ったの。
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