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イサークは私を慰めようとしてくれたのね。イサークの優しさに触れて私は心が温かくなった。
「大丈夫よ。ルカの事は思い出にするから。初恋は実らないって聞くし」
私はイサークと向かい合う為、体を横に起こした。それからイサークの顔を見つめた。するとイサークは私の一房の髪の毛にキスを落とした。
その動きに思わずドキリとする。
昨日までは一緒に戦った仲間だったのに。突然こんな事をするなんて。私がそう思って見つめていると、再びギラギラとした瞳で、イサークは見つめる。イサークの言葉が再生される。
──ルカなんてガキは止めて俺にしておけ──
ルカの事を勇者と認めているのに突然ガキなんて。イサークは冒険している時から、私の事をずっと見ていてくれた?
熱い視線の理由が分かって、私はそっとイサークの頬を撫でた。ざらりとした感触。ひげが生えてきているのかな。それとも男の人の肌ってこんな風に違うのかな。
私が触れるとイサークはゴクンと唾を飲み込んだ。触れていた手を掴んで、掌にキスを落とす。
「俺は言葉が足りないからな。他の慰め方を知らない」
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