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薬や薬草に詳しいイサークが言うのだから、相当な媚薬なのだろう。
「そうなんだ」
媚薬どころか薬の知識に暗い私にはピンとこない。
私のぼんやりした態度にカチンときたのかイサークは長身を折り曲げて、ベッドの縁に座る私に精悍な顔を近づけた。
「この媚薬は数滴口に含んだだけで男も女も我を忘れて交わる事しか考えられなくなるんだ。更に触れただけで達するという信じられない代物で、長期間使い続けると廃人になる恐ろしいものなんだぞ」
普段は寡黙なのに今回は目をつり上げて怒るイサークだ。
珍しいわ。こんなに沢山話してくれるなら、普段から話し相手になって欲しかった。だって冒険をしている間ペアで戦っていた私とイサークだったけど、ずっと私が一人だけ話している様なものだから。
「詳しいのね、イサーク。もしかしてこの媚薬を使った事あるの?」
私は少し酔っているせいもあって、怒られていても少しも響いてこなかった。
だって、それより私は今、人生最大のショックを受けているのだから。
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