01 私の名はヴィヨレ

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 今頃、媚薬なしでも盛り上がっているだろう。だって私が見た時には酒場の奥、宿泊している部屋の前で二人抱き合い、キスをしていたのだから。しかもルカの手はしっかりとカスミの巨乳を揉んでいた。  そのシーンばかりが私の頭の中で再生される。  ショックでフラフラながら酒場のカウンターに戻ったら、知らない男が隣にいた。飲みかけの私のビールを指さして「飲みかけじゃん? 一緒に飲もう?」と優しく声をかけてきた。だから私は呆然としながらそのビールを口にしようとした。それを止めたのが目の前にいるイサークだった。  酒場でめったにお酒を飲まない私は、この手の事に引っかかる事はない。だけどこの時ばかりはあまりにもショックで無防備になっていた。しかも祝いの席でそんな不埒な事を考える男がいるとは思っていなかった。  情けないビキニアーマーの女、ヴィヨレ。危うく媚薬入りのお酒を飲んで知らない男達に犯されるところだった。酒場での立ち振る舞いも分かっていないのか。腑抜けてしまった女剣士だと笑いものにされるところだった。  そんな情けない状況と、ルカとカスミのラブシーンで私はすっかり壊れてしまった。
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