01 私の名はヴィヨレ

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 何でカスミなの? ルカは巨乳が好きだったの? 私だってまぁまぁ胸はあるのに。私にこんな派手なビキニアーマーを着せといて! 本当は恥ずかしかったのよ。ルカ……ひどいわよ。  そんな言葉が頭の中でぐるぐる回る。  そもそも私は女剣士だけど、ビキニアーマーなんて着ていなかった。長袖長ズボンで体のラインなんて隠して大マントをかぶっていた。髪の毛も一つに結んで化粧は日焼け止め程度だったのに。だけど、勇者ルカが私に最初にくれた装備だったから。ちょっと……いやかなり抵抗はあったけど、紫色のビキニアーマーを身につける事にしたのに。  ◇◆◇ 「って事なの。ひどいと思わない~?! うううっ~」  私は洗いざらい思いの丈をイサークに吐き出した。話が長くなったのでイサークは椅子に座って話を聞く羽目になっていた。  表情を表に出さないイサーク。泣き出した時は流石に驚いていたけれど、すっかりいつものイサークになっていた。  無言、ひたすら無言。何だか岩にでも話しかけている気分になり私は拳を作りポカッとイサークの三角筋を叩いた。 「ねぇ?! 聞いてるの?」 「聞いているさ」 「岩がしゃべった!」
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