劇的な変化を求めたあの日

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 その後、朝霧と他愛も無い話をした。  朝霧の彼氏さんとの、馴れ初めも聞いた。  馴れ初めを話してくれたのに、彼氏さんの名前は教えてもらえなかった。  朝霧曰く、彼氏さんがそれを知ったら恥ずかしがるからと。もし話すのなら、彼氏の許可を取ってからにしたいと。私はそれに応じた。  確かに、自分の知らない場所で自分の紹介をされていたら、嫌だと思う。理由はないが何か嫌なのだ。そんな経験がないというのに、私はそれを理解した。  それにしてもーー  未来の自分とは言えど、誰かと一緒にいるのが楽しいだなんて。誰かと一緒に話をすることがこんなにも楽しいことだったなんて。  時間をかけて朝霧が思い出させてくれた。  失っていた感覚を、朝霧が蘇らせてくれた。  たとえ、ここで出会ったことが偶然だったとしても、声をかけてくれたことが、偶々だったとしても、それでも私は嬉しかったしありがたかった。 「あの、ありがーー」  ありがとう。  その言葉を言おうとした時、朝霧のスマートフォンに着信が入る。 「およ? 誰だろう」  朝霧はそれを確認する。  その人物の名を確認した朝霧は、こてんと首を傾げた。 「ごめん、電話してきてもいいかな?」 「あ、はい。大丈夫です」  ありがとう、と返事をすると、朝霧はボタンを押して応答する。 「ーーもしもし?」  そのまま喫茶店の外へ出た。  あの様子を見るに、相棒という名の彼氏さんだと判断した。  首を傾げながら、だけど嬉しそうな表情を溢した朝霧は、恋をしている女の人のようで、私は少し羨ましいと思った。  未来の自分だからこそ、尚更にーー
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