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目を見張ったのは、クラスメイトの霧島ではなく、朝霧や矢吹と共にこの教室に入ってきた、霧島葵だった。
そんな霧島葵を嘲笑うかのように、朝霧は言葉を続けた。
「君の両親から依頼されなければ……あんなに謝罪をされなければ、私はあなたを助けたりなんてしなかったし、そもそもあなたが矢吹に誘拐されたなんて知らなかった。興味なんてこれっぽっちもなかったんだよ」
「なら、なんでーー」
「仕方ないじゃない? 確かに私はあなたのことなんてどうでもよかったけど、あなたの両親にたくさん謝罪されて、たくさんのお金を強引に渡されて。助けてやるしかない状況にされちゃったんだから。それがなければ、私はあなたのことなんて助けなかったよ」
その言葉が偽りには聞こえなくて。
本心にしか聞こえなくて、私は思わず息を呑んだ。それから思った。
ああ、これが未来の私なんだ、って。
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