劇的な変化を求めたあの日

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 未来の私が来てから、数日が経った。  私は、家から少し離れた喫茶店に来ていた。  それに関して深い理由はない。  ただ家にいたくなかった。そして、今は家にいたくない気分、という理由で、喫茶店へと足を運んだというだけである。  私立の学校に通っているからか、中学生の時から休みが日曜日しかない。日曜日以外は学校で、早くても16時10分までは学校に拘束される。  よく3年間通っていたなと思ってしまうほど、休みがない。そしてつまらない。学校に価値を見出そうとしている時点で間違っているのだが、それでも何か求めてもバチは当たらないだろう?  そんな風に思っていた。  けれど、バチはなぜか当たった。  いや、初めからバチだらけだ。  中学1年生の時からずっと。  あんなに地獄を味わったというのに、親にそれを言う勇気がなくて、気付いたらここまで来てしまっていた。言ったところで何も変わらなかっただろうから、別にいいのだけれど。  今は親と顔を合わせたくない。  家でも学校でもボロボロだ。  なぜ自分はまだ生きているのだろう?  悲劇のヒロインになるつもりはないし、そんなことはないのだが、それでも少しくらい、この痛みを知って欲しいと思ってしまう。それは私が人間で、傲慢な生き物だからだろう。  特にすることもなく、ただ頼んだアイスティーを飲む。ケーキでも頼もうかな。  することがない私は、メニューをパラパラとめくる。特に頼みたいものがない。食べたいものがない。何の計画もなしに、ふらりと喫茶店の中へ入ってしまった。誰かと待ち合わせをしているわけでもない。そもそもそんな友達がいない。  周りを見ると、友達と楽しく話す人、恋人と話す人。色々な人がいた。仕事で来ている人もいる。  けれど、皆それぞれやることがあって、目的があってここに来ている。なんとなく歩いていたら見つけて、なんとなくメニューから飲み物を選んで、なんとなく座っている自分とは全く違う。  私と彼女たちとでは、住む世界が違う。  なぜ、同じ空間にいるのだろうと思ってしまうほどに、私たちは違うのだ。同じ空間にいるはずなのに、全く別の場所にいるように思える。それが辛くて、苦しくて。なぜ私はこんな格好をしているんだろうと、全く関係のないことまで気にしてしまう。  誰も自分のことなんて見ていない。  家でも、学校でも。もちろん外でも…… 「ホント、なんでこんなことになったんだろう。なんで私、まだ生きているのかな」  悲しくなって思わず顔を伏せた。  その時ーー 「ーーもしかして、過去の私?」  そう声をかけられ、私は俯いていた顔を上げた。  そこには、未来の自分がいた。
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