劇的な変化を求めたあの日

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 私はゆっくりと首を横に振る。  恐らく、それが今回のことに関係している。  それが関係しているのだろうが、どのように関係しているのか、私には分からなかった。 「いいえ、見ていません。矢吹の両親は忙しく、いつも祖父母が来ています。恐らく矢吹の両親を見たことがある人は、いないんじゃないかな。いや、もしかしたら霧島が見たことあるかもしれませんが、深く話を聞いたことはないです」 「なるほどね。これ、誰にも言わないでほしいんだけどね? 実はーー」  朝霧から発せられた言葉は、私から言葉を奪うには十分すぎた。  それほど衝撃的な内容だ。  そこらへんにいる高校生に聴かせていい話ではない。私が過去の朝霧紫だったから話したのだろうが、それでも、その話は私には重すぎた。  誰にも言わないでほしい。  そう釘を刺されたが、こんな話を、一体誰に話せると言うのだろうか。友達がいても話すことなんてできないと私は思った。  朝霧は言った。 「矢吹琴子の両親は、15年前に焼身自殺をして亡くなっている」
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