劇的な変化を求めたあの日

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 大人になりたくない。そう言った私に、朝霧は笑みを浮かべながら言った。 「ふふふ。面白いこと言うんだね。だけど、なりたいとは思わないけど、なってみたい気持ちは分かるよ。不思議だよね」 「朝霧さんは、もうとっくに大人ですよね?」 「私? まあ……年齢とかを考えたら、大人の部類に入るんじゃないかな?」  いや、そういう意味じゃなくーー 「考え方とかそういうのって、大人みたいにならないんですか?」 「んー? 価値観とかが変わってくる、っていうのはあるけれど、大人みたいになるかと聞かれたら分からないなぁ。それをどう捉えるかは、人それぞれだし、私は自分が大人みたいな考え方をしているなんて思いたくないから、とりあえずそれは否定しておこうかな」  苦笑しながら朝霧は言う。 「人の考え方って、それこそ人それぞれじゃない? 皆が皆、同じ行動をしないように、同じ考えをすることもない。類似はしていても、完全に一致することはないでしょ? だから、それら全てを大人っぽいで片付けられるのは、あまり好きじゃないなぁ」  未来の私は偶に不思議なところがある。  それが怒っているのか怒っていないのか。全くと言って分からないのだ。私は分かりやすいと言われるのだが、未来の自分はこんなにも分からない。怒っているのかと思えば、次の瞬間にはもうにこりと笑っている。  ーーほら、笑みを向けた。  これも大人という部類に入る理由なのだろう。  私は心の中でそんなことを思ったりした。
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