劇的な変化を求めたあの日

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 外で電話を続ける朝霧のことを、私は飲み物を飲みながら、静かに見つめていた。  ズズズと音が鳴る。  飲み終わりのアイスティーが、完全に飲み終わったのだ。  この待っている時間は嫌いだなと、私は思う。朝霧さんが来る前までの自分に、戻ったみたいだったから。  しばらくして、朝霧さんが戻ってきた。  困ったような表情をしながら戻ってきた彼女に、何かあったのだと察する。 「ごめん、お待たせ」 「あ、全然大丈夫です。大丈夫ですが……何かあったんですか?」  その言葉に、ピクンと反応をした朝霧。  何かあったんだと察する。 「あー」と言ったきり、続きの言葉を言わない朝霧に、苦笑してみせる。 「いや、言いたくないのなら大丈夫なんですけど、少し困った顔をしていたので気になって」  顔色を伺って自分の意見を取り消さないで、と言われたことで、自分の意見を言えるようになった。言ってもいいのだと思えるようになった。  それでも少し、困った顔をされるのには慣れないが。 「いや、話してもいいんだけどーー」  そう朝霧が言った時、朝霧のスマートフォンにメッセージが入る。それを確認した朝霧は、渋った顔をした。 「はぁ、マジか」  朝霧は深い溜息を吐いた。よほど良くない内容だったのだろう。 「ごめんね、今すぐに帰らなきゃいけなくなっちゃった。また今度会おう! 本当にごめんね」  お札を置いて、慌てた様子で朝霧はお店を出た。  1人置かれた私は、そのお札を見つめる。 「これで支払って……ってこと?」  咄嗟に財布からお札を取り出して渡した。  恐らく今の私が彼女だったら、そんなことできなかったろう。 「お礼言いそびれちゃったな」  残されたお札を見ながら私は呟いた。 「また会おう……か」  また今度があることが、こんなに嬉しいことなんてね。  頬が緩んでいることに、私は気付いていなかった。
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