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「……がっ……!?」
押し倒したのと同時に、その手で首を絞め始めた。
ギリ、ギリと音が鳴る。
首が絞まっていく音が鳴り響く。
このまま放置していたら確実に死んでしまう。
私はそれを阻止しようと一歩足を踏み込んだ。
その時「ーー琴子、それくらいにしておかないと本当に死んじゃうよ?」と、まるで嘲笑うかのように、途中参加の女性が言った。
この途中参加の女性とは、追いかけられていた人が、体制を崩す原因を作った人のことだ。
それにしても……琴子?
その名前には聞き覚えがあった。
嫌な予感がする。
私はごくんと唾を飲み込んだ。
「……葵、邪魔しないでよ」
2人の会話に、私は耳を疑った。
今のは聞き間違いではない。琴子という名の女性は、確かにはっきりと、「あおい」と呼んだ。
「良いところなのは分かるけどさ、朝霧を殺したら、聞きたいことが聞けないでしょう? いいの? 例のことを訊かないで」
「訊くけど」
「なら、殺したらダメじゃない。結構食い込んでるでしょ? そのままいったら死んじゃうよ、そいつ」
「ーー分かったよ」
葵という名の女性の言葉を受け入れたのか、琴子という名の女性は、その手をゆっくりと離した。
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