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「え…?
いや、あんな群れがいるとわかった以上、
俺もこのまま帰れないし。
あんたらも狼が狩れるなら、協力してほしいんだが……ここらへんの狼は侮れないんだぞ?
確かに冬以外はおとなしいが、森の周りは人里が多い。前にも、西の外れにあった村が狼共に食い尽くされたりしてるんだ」
断る、とばかりにしらけてゆく女性の瞳に、
クリフが慌てて言い募る。
過去の事件を引き出したところで、
ようやく彼女の表情が変わった。
どちらかといえば痛みをこらえるような
変化だったが、
追い出されそうな予感に焦るクリフは気付かない。
ただ変化があったという一点を見抜いて、
勢いづいて身を乗り出す。
「よしっ、そうと決まれば、
まずは互いの手の内を明かそう!
俺はこのとおり、銀を混ぜた弾丸を使ってる。
で、あんたの… いや、あんたらのやり方は? 俺はこれまで、あんなの見たことがなかったんだが」
「何が決まったのかわかりませんが」
愛用の銃を見せて無邪気に押し切ろうとするクリフに、師匠の女性がぴしゃりと返す。
それでも話すことに抵抗はないのか、
シチューをよそう少女を後目に言葉を続けた。
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