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「ほら、見なさい。
殿方のいる場所で、早速私は恥をかいています」
「あー、いや、その話続けるのはおたくらの自由なんだが、その……」
クリフとて、
存在を消しておきたいのはやまやまだったが。
そうもいかないと、太い指で二人の脇を指し示す。
「まだ生きてるんだが。そいつ」
向き合う二人の右隣。
一頭の狼がおとなしく立つ傍らで、赤ずきんの少女を呑んでいた狼がピクピクと痙攣を続けていた。
三人の視線がそこへ集まる。
ややあって、凛とした声が命じた。
「仕留めなさい」
獣の牙が、たちまち西日に鋭く光る。
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