正体

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 うおぉ……これが、女子の部屋!? めちゃ綺麗……。  実は、もっと汚い部屋を想像してたんだけど……真逆の部屋だったわ。まさに理想の部屋、無駄なものがない。 「き、綺麗な部屋だ……」 「ふふ……ありがとう」  あ、天使……。今、天使がいたぞ。  初めて、琴音さんの笑顔を見た。普段、あんなに冷たい態度を取るのに、こんなに可愛らしい笑顔……素晴らしいよ、うん。 「あ……ああ、あの! 俺、どうしてこの部屋に呼ばれ……」 「とにかく、そこに座ってて」 「あ、ごめん……なさい」  怖い……敬語になってしまうぐらいに……。 「そこから、絶対に動かないで」 「あ、はい」  え、今ので嫌われた!? こっちは、話すことも許されないの!?  白河さんはこちらの様子を気にしながら、窓際に移動した。そして、窓を開けて、身を乗り出し……って、ええ!? 「ちょ! 何してんだよ!」 「動かないで!!」  え? なんで? 状況が理解できないんだけど。 「私、今から死ぬ。君は、そこで見てて」  なんでだよ!?
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