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「は? かなり焦ってますけど?」
目の前にいる人が、死のうとしてんだぞ? 焦るに決まってんじゃん。
「そう? 私があなたと初めて話したとき……もっと、焦ってたと思うけど?」
言われてみると、そんな気がしてくるぞ……。
あのときは、白河さんと目を合わせることもできなかったな……。変な汗もダラダラだったし、手も震えてた。でも今は、妙に落ち着いているような……って、いやいや! それでも、焦ってないなんてことは、絶対にないから!
「確かに、落ち着いてるかもな……。でも! 焦ってないは、違う!」
「そう……じゃあ、死ぬわ」
「どうしてよ!?」
頭おかしいだろ。どうして、死にたくなるんだよ……今、何もしてなかったでしょ!
「はぁ……そんなに死んでほしくないの?」
疲れたような目つきで、ため息をついた。白河さんは、何に疲れているんだろうか。この会話か、それとも人生か……。どちらにしろ、死にたくなった原因が知りたい。
「当たり前だ。大体……どうして、死にたいの? 自分が死んで、誰かが困るとか思わないの?」
ピクッと、反応した。うん……今のは、駄目だったかなぁ。最後の余計な一言に反応したでしょ、絶対。
身を乗り出した姿勢から、こちらと向かい合わせになるように、窓枠に座る白河さん。確実に、怒ってますね。
「あなたに……何が分かるの?」
はい、何も分かりません。
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