正体

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 まぁ、何も分かりません……なんて言えるはずもなく、他の回答を探す俺。今度こそ、焦ってます。 「えっと……」 「…………」  怖い! 無言の圧力!  ……っていうか、寒い! エアコンの暖房、ついてるよな? 外も、いつもよりは暖かいはずだけど……。あれか、恐怖で気温が低く感じるやつか。まぁ……教室でも、白河さんを見るたびに寒くなるから、あまり驚きはないかな。  とにかく、何か答えないと……。  今日は美術の時間に寝て、先生に怒られて、髪が抜けそうになって……いやいや! 今日の出来事を思い出して、どうするんだよ!  ん? 待てよ? 今日じゃなくて、先週の美術で……何かを書いて…… 「……し、詩だ!」  そうだよ! 詩を書いたんだ! あー、すっきりした! 「し……が、分かるの?」  あ、口に出しちゃってたのか……こうなったら、勢い任せだ! 「この前、詩を書いたんだ。良かったら、見る?」 「し……書く?」  なんか、ロボットみたいになってる。そんな白河さんを置いてきぼりにして、自習用のノートを取り出す。  秀とかは、勝手に見るけど……。自分から人に見せるのは、これが初めてかもしれない。
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