錯誤

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 詩を何かと勘違いしていたのか?   詩と似たようなものなんて……あ、ああ! あれか! 「もしかして、詩のことを……死ぬの死だと、勘違いした?」 「……」  プルプル震えてる……その通りみたいだな。 「……ふっ! あはは!」 「わ、笑うことないでしょ……」 「いや、笑うでしょ! どんだけ死にたいんだよ! あ、大声で言うのは、さすがに駄目か……」  防音が効いた部屋でも、窓が空いた状態で大声出したら、さすがに聞こえるかな。そしたら、お隣さんにクレームを言われたり…… 「……ふふ」 「な、なんだよ……」 「だって、青い顔してるんだもん。笑っちゃうでしょ」 「い、いや! お隣さんにクレーム言われるかもしれないじゃん!」 「ふふ……心配しすぎだよ」  確かに、心配しすぎたかな……。 「そ、そうだな……。あ、あはは……」 「何? その、ぎこちない笑い方。ふふ……あはは!」 「そんなに笑うことないじゃん」 「私と同じこと言ってるし! あはは!」 「あ、そうだな……あはは!」  涙を浮かべながら、白河さんは笑い続けた。  こんなに笑ってるのは、初めて見たな……。なんだか、こっちまで面白くなって、俺まで笑ってしまう。  さっきまで、あんなに殺伐とした雰囲気だったのに……。今は、和やかな空気に包まれてる。
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