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真珠
高校から近い場所に、お気に入りの店がある。
「海斗、これ……飽きないの?」
こいつは、めんどくせぇ……とか言いながら、必ず付いてくる。
うざいけど! なんだかんだ言って、良いやつだよ。
「なんだよ、秀。もう飽きたのか? 雑貨屋で飽きる要素なんて、あるわけないだろ」
「雑貨屋と言っても、中古屋だろ? そりゃあ、品物が変わるし、見ているだけなら飽きないだろうよ。でも、買いもしないくせに、入り浸るのも良くねぇよ。俺ら、ただの冷やかしじゃねぇか」
どうして、こいつは正論しか言わないんだよ。俺、何も言えなくなっちゃうじゃん。
「……言い返す言葉もねぇ」
「だろ?」
うん、正しいけどさ……正しいんだけど!
「ドヤ顔やめろ!」
あ、やってしまった……。周りの人が、こっちを見てる。大声出したら、そうなるよなぁ。でも、仕方ないじゃん! 前からストレス溜まってたしさ。どんなに良いやつでも、うざかったら、怒鳴りたくなる!
「黙ってくれない?」
今、何かが聞こえたような気がする。
秀の顔は青ざめていた。しかも、俺の後ろを見たまま、凍ったように動けないでいる。
まさか……いるのか?
「……雪女?」
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