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うわぁ……キツイぞ、これは。
好きな人の前で、怒鳴ってしまった。これ、印象悪いだろ。友達に怒鳴るような短気な男、みたいに思われたかなぁ。
「……どうも、雪女です」
「あ、はい、こんにちは……じゃないよな! ごめんなさい!」
「大丈夫、気にしてないから……」
あ、あ……ああ! 怒鳴ったことよりも、雪女と呼ばれたことの方が、印象悪かったみたいだ! 白河さん、気にしてないとか言ってるけど、手がプルプル震えてるし!
「……っ!」
「……えっと、その……ごめん」
やっぱり、怒ってるよね!? そうなんだよね!?
どうしよう……よ、よし! ここは、秀に助けを求め……って! いないのかよ! あいつ、絶対に許さない……親友だと思っていたのに!
「友達、逃げたね」
「そ、そうだね。うん、そうだ」
あ、気まずい。
何か……どこかに、話題が落ちてたりしないのか!? そもそも、話題は落ちてるものなのか? 落ちているとして、それは拾っていいのか? 俺は何を考えているんだ!?
「……」
「……」
白河さんは、立ち去る気配なし。俺は、体が固まって動けないし……秀のやつ、よく動けたよな。俺よりも固まってたのに。
それにしても……綺麗な人だなぁ。こんな緊急事態に考えることではないけど……。
雪女って、髪が長いイメージがあるけど、白河さんの髪は短い。
声は、可愛い……! りんりんと、鈴を転がすような声……。聞くだけで、癒される。
肌は白く、唇は紅い。鼻はすらっとしているギリシャ鼻、耳は……あれ?
「白河さん、耳のそれって……」
耳にイヤリングのようなものを着けている。イヤリングとかって、校則違反なのでは? 耳に穴を開けるのもダメだろうし……。
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