雪女は、真珠が好き

真珠

「そんなに難しい顔をしなくても大丈夫。これ、イヤーカフだから」
「いやー、かふ……。あ！　耳に穴を開けなくても、付けられるやつか！」

　学校内ではダメだけど、外では大丈夫。しかも、イヤーカフだからバレない。なるほど……イヤーカフ、便利だ。

「そ、その白い玉って……真珠？　綺麗だね」
「違う。樹脂パールとコットンパール、ワイヤーで作ったイヤーカフだから、違う」

　うん。何を言っているのか、さっぱり分からん。

「……」
「……」

　どうしよう……。せっかく話題が作れたのに、振り出しに戻ってんじゃん。必死で繋ぎ止めていた糸をバッサリ切られたら、こんな気持ちになるんかな。今、そんな気分を味わっているんですけど。

「真珠……良いね、それ」

　ん？　何が良かったんだ？

「……どういうこと？　真珠？　え？」

　今のも印象悪かったな、多分。でもさ、仕方ないじゃん。だって、琴音さんが何を言いたかったのか、さっぱり分からないし。俺が馬鹿なのがいけないのか？　そうなのか？

「真珠の意味、知ってる？」

　うん、知らない。