第三章 新たな世界

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「久しぶりに飲んだなぁ」 腕の酒を一気に飲み干したウォルが言った。 童顔のせいか酒を飲んでいる姿が変な感じだ。 「いい飲みっぷりだね、先生!」 いつも先生には世話になってると、隣の席の夫婦が話しかけてきた。 「兄さん、先生のいい人かい?」 ウォルが真っ赤になった。 「違います!」    もうっと言いながら怒るウォルをみて、周囲から笑い声があがった。    若いがウォルは、皆んなに慕われる医者なんだと思った。 しばらくして、空がだいぶ薄暗くなってきた。 活気があった昼間と違い、夜の街中は松明の灯りが転々と灯りはじめている。 日中ほどの騒がしさはないが、周囲の飯屋や飲み屋からは人々の楽しそうな声がもれていた。 そろそろ帰ろうとした時ー… ウォルがさっき買った薬草の袋の中をごそごそ探しだした。 「どうかした?」 「うーん、頼んでいた姜黄と桂皮が入ってなくて」 いつも頼んでいる物だから、入れ忘れは無いと思ってたそうだが、念のため確認したら入っていない。 「まだ店が空いてるはずだから、取りにいってくるね。ここで待ってて」 と言ってウォルが席をたとうとしたが、 「日も暮れてきたし、俺が行くよ」 そう言って女主人にウォルを頼んで、さっきの薬材の店に向かった。
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