第六章 ソンジョ教坊

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第六章 ソンジョ教坊

気づけば周囲には5〜6人の女達に囲まれていた その状況に、反射的にウォルを背中側に押しやった。 「やぁぁー!」 押さえ込んでいた女の手を振り払うと、 頭上から鋭利な槍の片刃が俺めがけて振り落とされる。 ガッッ! 腰の短刀を鞘ごと引き抜き、間一髪受け止めた。 競り合った刀身を弾き返すと、後方から矢が俺めがけて飛んできた。 「‼︎」 瞬時の判断でしゃがみ込み、放たれた矢は建物の柱へ突き刺さった。 このままでは埒があかないし、ウォルが危険に晒される。 手前からまた1人、素早い動きで懐まで近づき、鞘をを下から上へ振り上げる。 ギリギリで顎を掠めたが、足払いでその場に転ばせた。 それを見た女達は間合いを取りながら、ジリジリと詰め寄ってくる。 体術は得意な方だ。 師匠からもお墨付きをもらっていた。 だが、飛び道具は防ぐには、守りながらはさばききる自信がなかった。 スゥッと息を吸い込み、手の平へ力と意識を一点に集中させる。 ここ数日、気をコントロールできるように毎日欠かさずやっていた事がもう一つ。 紫雲の強力な力を使えるようにする事だ。 次第に手のひらに熱を帯びてきた。 いまだ! 片手に握っていた鞘を足元に勢いよく、突き刺した。 その瞬間ー 雷光が放射状に女達の足元へ放たれた。 一瞬の出来事だった。 さっきまで武器を構えて、詰め寄っていたが次々とその場へ崩れ落ちていった。 「みてるんでしょ?出てきなさい!」 ウォルが屋敷に向かって突然、大声でさけんだ。
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