第七章 皇宮勅令

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馬に跨った司令官らしき役人を先頭に、 鎧を付けた兵士の行列が後に続く。 輿は丁度兵士と兵士の合間に並び、ウォルの姿が少しみえるような位置で俺は馬で並行した。 急いでたのもあり、馬はテグが近くの馬舎から借りてきてくれた。 ウォルの横顔が輿の日除けから見え隠れしていたが、表情から不安の色が伺える。 「ウォル」 「?」 「手を」 ウォルが手を差し出した時ー 「これは…大切なものでしょ?」 紫雲が肌身離さず持っていろと話していた、左腕の玉の飾りを渡した。 「龍の加護がある玉だ、ちゃんと腕につけといて」 ウォルは俺の顔を見つめ、両手に玉を握りしめながら頷いた。 そのやり取りを聞いてか、紫雲がやれやれと呆れた様に呟いていた。 --------- 山道を抜け5キロ程移動し、皇宮がある王城を目指すとケギョンと言う城下町に到着した。 今までみてきた町並とは違い、商人の他に貴族らしき服装の人々が多く行き交っている。 遠目には小高い土地に大きな城壁が階段状に並ぶ。 その奥には、まるで映画の中に飛び込んでしまったかと思う程に荘厳な風趣を感じせる王城がそびえ建っていた。 西洋とは違う趣きに、思わず目を奪われる。 周りの人々の目が、俺の髪の色に集中しているなんて気がつかないほどに、建築物の美しさに驚かされた。 しばらく城内の階段を上がると、輿が止まり中からウォルが降りた。それと同時に従者が馬を預かるといい、手綱を渡した。 軍服の役人に案内され、艶やかな赤で統一された長い長い廊下を歩いた。
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