プロローグ

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20XY年10月12日12:30   航空機搭載護衛艦DDV-183「いずも」 「ミサイル10発、本艦到達まで13秒!」 艦内にはアラームが鳴り響いていた。 「前方CIWS対応!!」 「間に合わない!!」 本来ならミサイル防禦はイージスシステム搭載護衛艦(DDG)が対応するが度重なる攻撃により、任務を遂行できないほど大破していた。 対空兵器を極力少なくしている航空母艦は護衛艦に護衛してもらい出撃している。 その護衛艦が動けないのは航空母艦にとって大きな痛手となる。 殺気立ったCIC(戦闘指揮所)からは諦めの雰囲気が感じられていた。 その時、ソナー員が驚いた声で「海中よりミサイル、10発!」と報告した。 それを聞いた艦長の稲城は撃沈を覚悟した。 「本艦の横を飛び出しました!迎撃コースに!!」 「は?」CICにいた全員がきょとんとした。 「接触は本艦直上!5秒!!」 「総員、衝撃に備え!」稲城はとっさに指令を下した。 爆発音と共に艦が大きく揺さぶられる。 20XY年10月12日12:30  イージスシステム搭載護衛艦DDG-171「はたかぜ」 「Cブロックから火災!消火、急げ!!」 「機関室、浸水!」 「怪我人は食堂へ!」 怒号が飛び交う中CICでは。 「『いずも』に向かって、ミサイル10発、13秒で到達!」 「本艦CIWSで迎撃!」 「無理です!砲塔、動きません!!」 艦長はテーブルを拳で叩いた 「海中よりミサイル10発が『いずも』へ向かっていきます!」 「命中コースではありません!『いずも』の横から飛び出し迎撃コースに!!」 「潜水艦…?」 しかし、出港時、潜水艦は同行していなかったはず… とすれば迎撃ミサイルは誰が…? 20XY年10月12日12:31  DDV-183「いずも」 稲城は起きたことが理解できず呆然としていた。 「…潜水艦、か?」 「本作戦に潜水艦は同行していないはずですが…」隣にいた副長が答えた。 「ソナー!下方スキャン開始!詳しく調べろ!」 「はっ!」 「艦長!本艦直下には沈没船しかありません!」ソナー員が答えた 「…沈没船?この海域にそんなものは存在しないはずだ…」 「…え?それじゃあ、これは…?」 「艦長!未確認艦が浮上します!」別のソナー員が叫んだ。 「右舷、すぐ横に!」 海水を押し出しながら浮上したのは、普通の護衛艦のようだった。 「…まさか、潜水イージス艦…?」稲城は周りに聞こえぬよう呟いた。
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