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2階の方が外を見渡せる分、都合がいい。
改めて見てみると、とんでもない光景だ。
青や緑の肌をした、元は人間だったであろう生き物たちがわんさかといる。
ざっと50人はいるだろうか。
あーとかうーとか言う不快な声色に、吐き気さえ感じてきた。
まさかこの中に、自分の父親と母親が。
だが、変わり果てた姿をしたゾンビたちを見て、この中からは探せないだろう、そう思った。
いや、そうではなくて、見つけるのが怖かった。
肉親のそんな姿を見たくない、そんな思いからつい顔を伏せてしまった。
そうしている間にも、ゾンビの中の何人かは、玄関の戸に手を掛けた。
「やめろ」
思わず声が出てしまった。
緊張から喉がカラカラだったのにも気づかず、固唾を飲みながら、カーテンを掴んでいた。
幸い、鍵が掛かっていたようで、戸が開けられることはなかった。
それでもゾンビは諦めが悪く、ドアノブをひたすら動かしている。
亮太は考えた。
この状況をどうすれば打破できるものかと。
緊張と焦りから、亮太の思考回路は少しおかしくなっていた。
窓を開けて、窓際にあった椅子に手を掛けた。
「うぉらあああ」
もはややけくそだった。
一瞬、意識が飛んだかとも思った。
次に亮太が意識したときには、目の前に椅子が舞っていた。
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