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「誰だ?戸川か?」
亮太は旧友の声を聞いて、それなりに悟った。
「さすがだな。こんなに早くバレるとは思わんかったぜ」
観念した戸川は、周りのみんなと顔を見合わせた。
戸川以外気づかなかったが、他の連中も知り合いばかりだった。
道田、細川、信濃、吉田その他大勢。
みんな小学校や中学校のときの同級生たちだ。
「なあ、何がしたかったんだ?」
ごく自然な質問を投げかけた。
「ふふふ、知りたいか?今日は何月何日だ?」
亮太はまったく日付けを意識していなかった。
そうでなければ、すぐに気づいただろう。
「今日は4月1日・・・・・・」
「そう、紛れもなく、エイップリールフーーーール」
戸川のアホ面が、ゾンビメイクと重なり余計にひどい顔をしていた。
そして、周りのみんなは一斉に戸川に注目した。
「おい、今日は亮太の誕生日じゃなかったのか?」
「おいおい、それ含めエイプリールってことなんだよ」
道田が尋ねると、憎たらしげに戸川が答えた。
もう訳がわからないと言うように、道田は下唇をしゃくらせた。
亮太は怒り心頭だった。
人様の家の前で、おふざけもいいところだと。
気づけば机を担いでいた。
そのまま下に向かって叩きつけるように投げつけた。
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