1人が本棚に入れています
本棚に追加
「いったい、どうなってるんだ」
岸本亮太は追い詰められていた。
2階の窓から顔を覗かせ、外を見下ろす。
外には亮太の家を囲むように、人だかりができていた。
しかし、どうやらただの人ではなさそうだった。
急いで窓を開けて辺りを見回した。
その人たちは、みな太い呻き声を上げていた。
血色も良くない。
その姿はまるでゾンビだった。
「もしかして俺、ゾンビに囲まれた?」
既に亮太の頭から、ありえない、という選択肢は排除されていた。
目の前で起きている現実を、ただ受け入れる他なかった。
慌てて1階へ駆け下りた。
滑ってこけそうになるのをなんとか堪えた。
「父さん、母さん?」
どうやら2人とも出かけているようだった。
ポケットからスマホを取り出し、父親に電話をかけてみた。
「おかけになった電話をお呼びしましたがーー」
出ない。
一抹の不安を抱えて、再び2階へと上がった。
最初のコメントを投稿しよう!