ハッピーバースデー

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「いったい、どうなってるんだ」 岸本亮太(きしもとりょうた)は追い詰められていた。 2階の窓から顔を覗かせ、外を見下ろす。 外には亮太の家を囲むように、人だかりができていた。 しかし、どうやらただの人ではなさそうだった。 急いで窓を開けて辺りを見回した。 その人たちは、みな太い呻き声を上げていた。 血色も良くない。 その姿はまるでゾンビだった。 「もしかして俺、ゾンビに囲まれた?」 既に亮太の頭から、ありえない、という選択肢は排除されていた。 目の前で起きている現実を、ただ受け入れる他なかった。 慌てて1階へ駆け下りた。 滑ってこけそうになるのをなんとか堪えた。 「父さん、母さん?」 どうやら2人とも出かけているようだった。 ポケットからスマホを取り出し、父親に電話をかけてみた。 「おかけになった電話をお呼びしましたがーー」 出ない。 一抹の不安を抱えて、再び2階へと上がった。
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