うちに悪魔がすんでいます。

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悪魔さん。もしいるのなら私の命をもらってください。 なんちゃって。そんなことを1人で呟いた。特に意味などなかった。退屈な人生に飽き飽きしたから言ってみただけだった。 目を瞑ってベットに倒れ込んだ。 ピンクのカーテンが揺れて風が一気に吹き込んだ。 「美味しそうな命を貰いに来た。誰だ。私に命をくれると言った人は。」 黒いマントを被った1人の青年が立っていた。さらさらした銀色の髪。見つめると引き込まれていきそうな黄色い瞳。大きな鎌、私はびっくりして飛び起きた。 「お前か。いい匂いがぷんぷんする。」 そう言いながら小さな鼻を私の首に近付けた。 「誰ですか!警察呼びますよ!」 必死の抵抗だった。 「おいおい。召喚しておいてそれは無いだろう。私は美味しそうな命を見つけたからこうやってここに来たわけだ。つまり君の命を頂きに来た。そういうわけだ。だから今から君には死んでもらう。」 そう言って鎌を振り上げてきた。 「待って待って違うの、ただ退屈だったから。私の人生終わらせたくて軽はずみで言っちゃって。」 分かってもらおうとなんてしていない。むしろ死んでしまいたいと思っていたはずなのに私は彼に対して抵抗してしまっていた。 「ふんっ。さっきまで覚悟を決めていたのにいざとなったらもたつき出す。人間とやらはよく分からない生き物だな。」 悪魔ははなをならし、私のベットに座った。 「駆け引きをしようではないか。今から君と私で勝負をしよう。もちろん君が勝てば命は奪わない。でも、私が勝ったらその命私にくれ。お腹がすいているんだ。とってもとっても。」 悪魔はにやりと微笑んで私に顔を近づけた。 「今から俺を惚れさせろ?俺が少しでもときめいたらお前の命はお前のものだ。でも俺がときめかなかったら。その時はお前の命を貰っていく。これでどうだ。」 「わかった。でもときめいたらちゃんと正直に言うこと。わかった?」 強気になってみたのがバレたみたいで悪魔は私を見て大きな口を開けて笑った。きらりとひかる八重歯が私を写す。 「いいだろう。交渉成立だ。」 悪魔は立ち上がり私に手を差し出した。 「交渉成立したのだ。近いの握手をかわせ。」 またとないチャンスだった。私はにやりと微笑み立ち上がった。悪魔の手を握り引き寄せてキスをした。 これで落ちないわけが無い。そう確信していた。 「はっ。はははは!!こんな子供だましが俺に通用するとでも思ってるのか。まだまだガキだなぁ。」 悪魔はにやりと微笑み踵を返した。すごく悔しかった。 「まぁ。今ので度胸だけは認めてやる。今夜日が落ちるまでに私を惚れさせろ。それでいいだろう。私も悪魔だがそこまで悪い奴ではない。君にとってもとても好都合だろ。」 私を見てまたにやりと微笑む。整った顔に少し苛立ちながらも交渉を成立させた 「さて。次はどう楽しませてくれるんだい?」 悪魔は私の頭に手を乗せた。 「こんな小さな頭。私ならすぐにかパッと割って魂を吸い取り殺すことも可能だ。でも。君は楽しませてくれそうだから。特別なサービスを。」 また微笑み八重歯を見せつけた。不覚にも照れてしまった自分の姿が映し出された。自分でもわかるほど顔が熱い。 「どうした?私を早く楽しませてくれ。」 これは長い戦いになりそうだ。
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