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オイルマッサージ ④
次、蓮が目覚めたのは仰向けに寝ながら、ハンドマッサージをしてっもらっている時。全身マッサージしてもらったのだろう。至るところ、オイルで艶々している。
そして時計の針を確認すると、マッサージし始めてから2時間が経とうとしていた。
え!?俺、そんなに寝てたの!?
そう言えば途中、真司が『仰向けで寝て』って言われて、寝方を変えた覚えが……。
でもそれ以降も記憶がない…。
せっかく真司がマッサージしてくれてたのに…、もったいない…。
「あ、おはよう蓮」
左手のハンドマッサージをし続けながら、真司が蓮の手の甲にキスをする。
「俺、寝てしまってて、ごめんね」
俺1人気持ちよく寝てたなんて、申し訳ない…。
「え?俺は蓮が気持ちよさそうに寝てくれてて、嬉しかったよ」
次は左手のマッサージを始める。
「蓮、ここのところ悪阻で体調良くなかっただろ?」
「え?」
悪阻のこといってなかったし、真司に気づかれないようにもしてたのに…。
「蓮は頑張り屋さんで、みんなに心配かけたくないから黙ってたんだろ?」
「うん…」
「でも俺にはわかっちゃうんだよ。俺が蓮のこと大好きすぎてずっと見てるんだから」
『大好きすぎる』って。
蓮が頬を染める。
「それにさ、俺は蓮のパートナーなんだから、なんでも言って欲しいんだ。蓮が嫌じゃなければ…だけどね」
真司が苦笑する。
「そんな!迷惑なんてことありえない!」
仰向けに寝ていた蓮は、ガバッと上半身を起こした。
「俺は真司のパートナーだし、俺だって真司のこと大好きすぎる!」
「だったら、俺が辛い時、心配かけないようにって黙って我慢しててもいい?」
「それは…絶対いやだ」
「だろ?だから蓮、俺にはなんでも言って欲しい」
「うん」
明るい声で蓮が返事をすると、真司の表情も明るくなり、楽しいおしゃべりをしながらのマッサージが続いた。
そこから20分ほど経ち
「では、俺のアロママッサージはこれでお終い」
え…もうお終いか…。
真司の大きな手で触れられてたの、気持ちよかったのにな…。
少し淋しい。
無意識に蓮がしゅんとする。
本当はもっとくっついていたいな…。
そう思っていた時、真司の言葉が浮かんできた。
『俺は蓮のパートナーなんだから、なんでも言って欲しいんだ』
そうだ。真司はなんでも言って欲しいって言ってた。
だったら…。
自分から言うのは恥ずかしいけど…。
「真司…」
真司の服の裾を蓮は摘み、引っ張る。
「ん?」
蓮と同じ目線になるよう、ベッドのへりに真司は座る。
「まだくっついていたいんだ…」
自分から甘えるのが苦手な蓮は、恥ずかしさから顎を胸の方に下げた。すると真司が『ふっ』っと笑い、蓮を愛おしむように見つめる。
「こんなに可愛いい蓮を、1人にさせておくわけないよ。蓮、何したい?」
「くっつきながら、映画…観たいな」
恥ずかしさから、蓮はまだ顔を上げられない。
「手は繋ぐ?」
「恋人繋ぎが…いい」
「他は?」
「後ろからハグもされたい…」
「蓮は本当に愛おしいな…。全部しよう。くっつきながら恋人繋ぎして映画観て、ランチ食べた後、今度は後ろからハグしながら2作目みよう」
「うん!」
嬉しさから、蓮は元気よく頷いた。
「映画はこの前話してた作品だろ?2作目はなににする?」
「海外ドラマ。そうだな…ホラーが少し入ったのがいい」
「ホラー?蓮、怖いの苦手だろ?」
「苦手だけど今日は大丈夫。だって真司が抱きしめてくれてるから」
そっと蓮は真司の唇に近づき、キスをする。
優しいキスを何度も…。
愛を確かめ合うように…。
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