真司、暴走 ①

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真司、暴走 ①

特に異常はなかったが、蓮は念のため一泊入院をすることになった。 それが決まった途端、真司は入院の用意品を取りに行った。 が、なかなか病院に戻ってこない。 これで準備万端だ! 何回もチェックしなおした!忘れ物はないはず! 病室のドアをノックした後、荷物を持って部屋に入ると…… 「!?真司、その荷物なに!?」 「え?入院の用意」 真司は大きな鞄と店で買った物が入っているであろう紙袋を両手に、嬉しそうに笑う。 「俺、一泊入院だよ?」 「うん」 「じゃあ、どうしてそんなに荷物多いんだ?」 蓮が鞄と紙袋を指さした。 「あー、必要最低限の物しかもってこれなくてさ。足りないものはすぐに買いに行くから、言って」 「…、え?何が入ってるの?」 真司は気付いてないが、蓮は少し呆れ顔だ。 「これ?まずは蓮のパジャマと着替えだろ?」 真司はカバンから服を取り出し、 「蓮、コーヒー好きだろ?でもカフェイン控えた方がいいから、お店の方オススメカフェインレスのコーヒーと、ハーブティー、アロマ系もいいって聞いたからオイルと……」 真司は次から次へと品物を出していく。 「あと……」 「ちょ、ちょっと待って!」 まだまだ出し続けようとする真司を、蓮が止めた。 ?? まだ足りないものあるのかな? そうだよな、これだけの量じゃ足りないよな。 何が足りないか、メモしないと。 真司がカバンからメモ帳とペンを取り出すと、 「何度も言うけど、俺、一泊入院だよ。明日の朝の検査で異常なかったら帰るんだよ?」 少し困った顔で蓮が真司を見た。 「うん。先生そう言ってたな」 それ以上の入院だと、寂しすぎる。 もし念のため入院が続いても、毎日出勤前と仕事終わり、お見舞いにくるけどさ。 「じゃあどうして、コーヒーとかハーブティーとかオイルまでいるんだ?」 「リラックスが必要だろ?」 真司は得意げに胸を張るが、対照的に蓮は『はぁ〜』と大きなため息をつく。
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