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真司、暴走 ②
「その気持ちは嬉しいけど、今はいいかな?」
「いらないのか?」
!!
蓮が欲しかったのは、これじゃなかったんだ……。
さっきまで得意げだった真司が、シュンと眉尻を下げる。
「いるよ!もちろん!それに凄く嬉しい」
慌てて蓮がフォローに入ると、真司の顔がパァーっと明るくなる。
「本当に!?じゃあさ、あとこれも見てくれる?」
真司はまた袋に手を伸ばすと、
「でもそれは家で使うよ」
蓮が真司の手を掴んだ。
え?今じゃなくて、家で?
「本当に本当に真司の気持ちは嬉しいんだよ。だけどさ、こんなに沢山使えない…かな?」
!!
確かに量が多いかもな。
「じゃあ、数減らしとくよ」
真司が中身を減らし始めたのを蓮が見て、
「真司、そう言う問題じゃないんだ。病院では使わないって事。だってほら、あとはご飯食べて寝るだけだからさ…」
フォローを入れつつ、蓮は真司に伝わるように断る。
そっか…。
じゃあ仕方ない。
真司がコーヒーやハーブティーを袋にしまい始めると、蓮がほっとした表情を浮かべたが…、
「え?真司、そのパジャマってとワイシャツって……」
真司が手に持つ新しい服を指さした。
「あ、これは俺の」
そう言いながら、真司はテキパキと自分の服を取り出した。
「どうして真司のがあるんだ?」
蓮が恐る恐る聞くと、
「俺も病院に泊まるからだよ〜」
真司は満面の笑みで蓮を見た。
「……真司、ちょっとこっち来て…」
ん?
なんだろう?
蓮は満面の笑みを浮かべる真司を手招きし、自分のそばに座らせると真司の頬を両手で挟んだ。
「真司、俺は一泊入院。明日の朝帰るんだ。今いるのは俺の着替えとパジャマだけで…、真司は泊まらない!わかった!?」
蓮は真司を睨んだが、
怒った顔も可愛い。
真司にはご褒美のようだ。
でも、ここで嬉しそうな顔をしたら、本当に蓮怒るから、真剣な顔で話を聞かないと。
「真司、聞いてる?」
訝しげに蓮が真司の顔を覗き込む。
「ハイ!ちゃんと聞いてます!」
「じゃあ、今日は家に帰って、明日迎えに来てね」
真司の頬から蓮が手を離すと、今度は頬にキスをした。
それから、小声で
「でも真司が早く帰ったら寂しいから…、面会時間ギリギリまで…いて欲しいな」
恥ずかしそうに蓮はチラッと真司をみあげ、その姿に真司は悶えた。
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