お家に帰ろう

　ドアノブを回した先に広がっていたのは、また同じような部屋だった。ただ１つ違うのはこの部屋には自分の知らない家具が置かれていたということだ。

　前に住んでいた人の家具がそのまま置かれていた？でもこの家を紹介した不動産屋は家具があるなんて言ってなかったしな。

　それにこの部屋も前の部屋もそうだが明かりがついているんだ？私が住み始めてからずっと付いていたのだろうか？

　私は自分が何か誤解しているだけだと無理やり思い込もうとする。きっと何もない、おかしいところは何もないはずだ。それにいま気付いたけど向かい側以外にも右側にドアがある。そこのドアを開ければ玄関が見えるはず……

　右側のドアの先にあったのは廊下だった。それも私が見知っている玄関に繋がる廊下。そして右を向けば遠くに玄関があるはずだった。だが玄関はすぐ近くにあった……

　今までの部屋のスペースを考えれば、こんなに近いはずはないのだ。再びさっきまでいた部屋に戻る。部屋の家具は自分が知らないもので、自分がさっきまで見ていた物が幻ではなく現実なのだと思い知らされる。